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駄文を弄する

おすすめの小説を中心に紹介しようと思っていましたが、脳内がとんだカオス状態なので内容もそうなっています。

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『新釈 走れメロス 他四篇』 森見登美彦

2010/10/31/日/01:40
気付いてみれば、読み終わったのは十日以上前。年々、時の流れが加速していってる気がします。このまま時が加速を続け、宇宙が一巡とかしてしまうのではないか(笑)、な~んて、危惧を覚える今日この頃。皆さま、いかがお過ごしですか?

何となく、出だしに困ってFMラジオのDJ風に読書感想を始めてみました。特に意味はありません。

新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)新釈 走れメロス 他四篇 (祥伝社文庫 も 10-1)
(2009/10/15)
森見 登美彦

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古典的名作が原典でも相変わらずの森見・ザ・ワールド。好き嫌いがはっきりと分かれそうですね。僕は前者です。

この小説に収録されているのは次の五作。

「山月記」 中島敦
「藪の中」 芥川龍之介
「走れメロス」 太宰治
「桜の森の満開の下」坂口安吾
「百物語」 森鴎外

当然、原典の短編五編には何のつながりもありませんが、新釈の方は話をリンクさせていて、そこがプラス要素になっていると思いました。

ご本人が「あとがき」で書いていますが、これをきっかけにして原作の読者が増えりゃいいと僕も思います。とか言いつつ、原典の方を全部読んでいる訳じゃありませんが。

個人的には『新釈 山月記 他四篇』の方がキャッチーなタイトルです。

短編ひとつひとつについて書いていったら思ったよりも長くなりました。なので、興味を覚えた人はこの先を読むより小説でも読んだ方がよろしいかと。

「山月記」

その昔、高校の現国の時間に授業そっちのけで教科書に載っていた「山月記」を貪る様に読んだ僕としては、「これを読みたいが為に買った」と言っても過言ではありません。

つまりは原作の大ファンです。なので、「下手ないじり方してやがったら、ただじゃすまさねえっ!」と息巻いて読みました。

はい、ウソです。原作ファンは本当ですが、あの話をどんな風に料理するのかワクワクしていました。剽窃、盗作は嫌いですが、パロディ、パスティーシュは好きなもので。

可能な限り余剰な言葉を削り落し、シャープで怜悧な感想を言うのなら、

「おもしろかったです」

以上。

「………………」
(「…」にはお好きな語句をお入れ下さい。例、「以上じゃねえよっ!」等)

さて、僕が原作で好きな所は、物語のクライマックス、李徴の血を吐くような独白です。あの、畳み掛けるような言葉の連なりは、今読んでも胸を突くものがあります。それでいて、贅肉の全くない話の構成には、試合前のボクサーのようにストイックな印象を受けます。硬派な文体に難読単語のオンパレード(文脈で意味を把握できると思いますが)にも関わらず、妙にするすると頭に入ってくる所もたまりません。

そして、「新釈 山月記」の方はというと、基本的な骨子は一緒ですが、骨組みを変え、中島敦がそぎ落とした部分(斎藤秀太郎の過去の描写等)を書き加えています。

この辺を余分な脂肪と取るかは、読む人によると思いますが、僕は楽しめました。アホ学生の馬鹿らしい孤高っぷりが、李徴の内包している滑稽さを前面に押し出しつつも、それだけではなく、斎藤の独白には李徴のと同様の悲痛を感じざるを得ません。まあ、それがなかったら最早「山月記」ではありませんが。

と、こんな感じで原作と読み比べてみるのも面白いんじゃないでしょうか。

ちなみに、原典の方は青空文庫なら無料で読めます。そして、中島敦にハマって、ちくま文庫の『中島敦全集』に手を出し、是非とも手遅れになって下さい。


「藪の中」

こちらも教科書でお馴染みの芥川龍之介。僕としては、子供の頃に観た、「まんが日本昔ばなし」のアレンジ版「蜘蛛の糸」が衝撃的でした。「耳なし芳一」の次に。

まあ、「藪の中」は内容がえげつないので、この先も教科書に載る事はないと思います。

これの面白さは、主要な三人それぞれの物語を照らし合わせると、矛盾があるところでしょうね。

誰が嘘をついていて、誰が本当の事を言っているのか。いやいや、全員が嘘をついているのかもしれない。と、真相はまさに藪の中です。

これも原典と新釈版を読み比べて、色々と考えたりしたのですが、詳しい事は書きません。半端じゃなくネタバレをしたくなるので。


「走れメロス」

やっぱり、あの有名な一文から始まります。収録作の五編中、最もアホな話。森見ザ・ワールド全開です。

「え? 逃げんの?」

と、意外な方向に進みますが、「メロス」は「メロス」でした。何も考えずにゲラゲラと笑いながら読むのが一番いい気がします。終わり方が非常に好きな作品。


「桜の森の満開の下」

これは原作を読んでいなかったので、一番純粋に楽しめたかもしれません。

女性の手のひらで転がされる男の話、といった感じでしょうか。僕が文体から受けた印象は、完全にホラーのそれだったので、原作はもっとオドロオドロしいんじゃないかと。

唯一、京都ではなく東京が舞台として登場するので意外な感じがします。京都の緻密な描写と比べて、東京の描写は全くなく、狙ってやったかどうかは分かりませんが、それが対比としていい味を出しています。

坂口安吾といえば、僕は『不連続殺人事件』を真っ先に思い出します。今読んでも色あせる事なく楽しめる傑作。

原作は「年内に読む予定本」に加わりました。って、あと二か月しかないじゃん。このリスト大量にあるんですけどね……。


「百物語」

正直に言うと、「何故にコレ?」というのが一番最初に思った事です。「山椒大夫」とか面白いのが他にあるじゃないか、と。僕が読んだ森鴎外の中でも一際印象に薄かったのがこの「百物語」。

当時、題名から正当な怪談(?)を期待して読んだ僕としては、肩透かしを食らった感がバリバリ(死語)で、ってゆ~かぁ、マジ超ムカツクぅ~みたいな?

何に腹が立つかといえば、上の一文ほど腹の立つものはない訳ですが、随分長々と書いている気がするので、こんな所まで誰も読まねーだろうと、ちょっと暴走した訳では決してありません。ええ、違いますよ。

そもそもが怪談ではないのですが、「百物語」なんて題名でそれはないだろう、という原作に対する僕の勝手な思いがある訳でして。(まあ、原作の最後の一文なんかは好きなんですけどね)

で、こんな事を言うのもどうかと思いますが、僕は原作よりも森見版の方が楽しめました。

特に登場人物の使い方なんかは僕好みです。この短編集の最後に相応しい逸品だと思います。

コメント

2010.10.31.Sun

相変わらず、面白過ぎます~

>原作は「年内に読む予定本」に加わりました。って、あと二か月しかないじゃん。このリスト大量にあるんですけどね……。

奇堂さん!私、ここに一番、共感してしまいました(笑)
あ、え、う~。他にも、あちこちで首を千切れるくらい(言い過ぎ?)
縦に振りながら、読ませて頂いたんですけどもっ!
(しかも気味悪く、にまにま笑いながら・・・)

私はまず、この森見作品をリストに入れますね。
で、読み終えたらきっと、また読む予定本が増えますね。
はい、私も読み落としの名作、けっこうありますね。
先に原作を読むか、どっちにしようか、思案のしどころ。
・・・ま、間に合うか、年内~?

私のリストも、地獄に届く長さとなってます。
ていうか、地獄も突き抜けるんじゃないか・・・(涙)

あ、今さらですけども、リンク貼らせてくださいなっ。
2010.11.01.Mon

あら? ごきげんよう、彩月さん

何故か挨拶がお嬢様風になってしまい、無念ここに極まれりです。そして、何事もなかったかのように進めます。「わたくし、何か可笑しな事を言いまして?」といった顔で。

さて、まずはリンクのお礼を!

あっしのようなケチな妖怪(今、自分のプロフィールを見て思い出しました。何考えてんだろう、コイツ)の所へリンクを貼って頂きありがとうございます!

そして、本っ当に今更ながら、すいません。僕は勝手にリンクを貼っておりました。リンクフリーとあったので、「そうかそうか」と思いポチッと。申し訳ない。今、報告いたします。

それにしても、「年内に読む本リスト」は…、僕の方は脳内CPUの計算によると「間に合わん。来世までかかる」と出ました。

彩月さんの方はアレです。地獄には蜘蛛の糸が垂れてくる可能性があるので大丈夫ですよ。きっと。多分。おそらく。……って、何冊あるんですか!?

でもって、森見作品、リスト入りありがとうございます。(僕が言うのも変ですが)
原作を先に読むか後に読むかは悩ましいところですね。ただ、僕が言える事はどっちも面白かった、という事だけです。

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